雨の降っている朝を迎えます。樹林帯の中にあるラマホテルには、朝陽が届きません。そのためうっすらと暗い朝を迎えました。
キッチンボーイが鍋とやかんに水を入れて、キッチンへ運んでいるのが見えます。外の様子を見ていると、いつものキッチンボーイがお茶とビスケットをもってやってきました。すっかり定着した朝の日課。彼から頂く熱いお茶で1日が始まります。
ポーターもすでに全員が外に集まっておいしそうに湯気の立ち上るミルクティーを飲んでいます。彼らと目が合うと『ナマステ(おはよう)』 と声が返ってきました。
なみなみとお湯が入った洗面器が運ばれ、朝の身支度が始まります。キッチンの方からは、スタッフが朝食の準備に忙しそうです。
洗面も済み、トレッキングに出かけられる準備が出来た方から、ダイニングへ集合です。
7時の朝食に参加者全員が揃いました。ご飯と菜っ葉の味噌汁が運ばれてきます。目の前には、(かぼちゃのつる)の炒めものも出てきました。昨晩コックが夕食に出したかった品だったらしいのですが、間に合わず今日の朝食に出てきました。
漬物とゆで卵、更にきのこのソテーが続いて出てきました。順番にお皿を回しながら料理を取っていきます。
外では、ポーターが参加者の荷物を集めて荷造りをはじめています。およそ50分の朝食が終わり、水筒にお湯やお茶が入れられました。ガイドより今日のトレッキングのポイントについて説明がありました。
8時15分参加者全員がロッジの前に集まり、シャブルベンシに向けて出発です。すでにポーターとコック、キッチンボーイは出発しています。オーナー婦人の見送りを受けながら、ランタン谷を下り始めました。
平行道20分歩くとリムチェの村です。ここは分岐の場所であります。私たちはここから川底に向います。
雨が降っているので、道が少し滑りますが、ガイドが参加者の下山を助けてくれるので安心です。
ゆっくりゆっくり下りてつり橋のところまで下りてきました。大きな岩の下に荷物を置いて休憩です。
ランタン川が濁流となって岩にぶつかり水しぶきを上げているのがよく分かります。
再び出発です。吊橋を1人ずつ通り、反対側へ移動します。再び樹林帯の中の道を歩いていきます。木の根元には大きなきのこが沢山生えています。それを見ながら(おいしそうかな?)と思いながら、進んでいきます。
1時間以上あるいてきたでしょうか。現地の人に出会いました。大きな荷物を担いで、ランタン村に行くとのことです。生活用品をはじめ、米袋と砂糖の袋も入っています。
およそ60kgの荷物を担ぎ、私達の歩くスピードと殆ど変わらない速さで登っていきます。
いつの間にか、往路でお昼をとったバンブーへ着きました。そこでは現地の人が生い茂った草を鎌で刈っていました。この草は牛の餌になるとのことです。ロッジが全て閉まっているので、ベンチだけを貸していただいて休憩です。
来る時に見えていたお花もだいぶ褪せてしまっています。ちょうどよい時期にこの谷を訪れたと改めて思いました。
20分ほどのゆったりとした休憩でした。お茶を飲んだり、写真撮影をしたりとゆっくりと出来ました。
いつの間にか雨も上がりました。昼食地を予定しているドバンまであと1時間30分。出発です。
ランドスライドまでは再び樹林帯の中を歩きます。落ち葉がクッションになった歩きやすい道を歩いていきます。崖に作ったミツバチの巣も見えています。雨が降っていないせいでしょうか、ミツバチが沢山巣の周りを飛んでいるようです。
ランドスライドまでやってきました。欧米人2人組がベンチで休んでいました。彼らは昨日シャブルー村に泊まり、ラマホテルに向う途中とのこと。ガイドは新しい情報をしきりに彼らから聞いています。
目の前に流れているランタン川は水を更に増やし、シャブルベンシに向って流れています。
ドバンで昼食
11時30分昼食地のドバンに着きました。2つのロッジとも営業しています。行きとは別のロッジで昼食となります。
私達の昼食のために場所を提供してくれるありがたいロッジです。彼らはツーリストから入る現金収入しか現金を手にする方法はありません。
山岳地域では、都市部と違い物々交換などの習慣が強く残っています。少しでも彼らに現金が落ちるように、そして平等になるようにと行きと帰りのロッジをかえました。
キッチンボーイがオレンジジュースを運んできました。最後の参加者までジュースを配り終えると、急いで昼食の準備を手伝います。
キッチンから昼食の準備が出来たことを知ると、参加者は外のテーブルについて、昼食を待ちます。
目の前に2匹のクロアゲハが飛んでいきます。花の上で止まったので、写真をとろうと構えると、飛び立ってしまいました。大自然の中で、食事をいただける素晴らしさをつくづく感じます。
昼食には、オムライスと野菜スープ、マヨネーズをからめたキャベツサラダ、ソーセージと無農薬野菜の炒めもの、漬物と温野菜です。オムライスの中はケチャップで味付けした赤いご飯が沢山入っています。
キッチンボーイが参加者の食事の進み具合を見ながら、おかわりをたしていきます。
また別のキッチンボーイは、参加者のコップにお茶を配っています。常に食べやすい環境で食事ができるように、サポートしてくれ、ゆっくりとした楽しい昼食をします。
ポーターたちがロッジの中から出てきました。彼らはネパールの食事ダルバートを食べていたのです。大きな皿にどんぶり3杯ほどのご飯を平らげるのです。
キッチンボーイがあつあつのスープを運んできました。先ほど配られた野菜スープではありません。
緑色をした少し粘りのあるようなスープです。
実はガイドの方が参加者のために特別に依頼して作ったスープらしいのです。
『ネパール人が食べる食事を頂きたいという声もありましたので、皆さんのお口に合いそうな食事を用意させていただきました。これはシスヌ(青汁のような色)というスープです。消化作用があり、胃にも優しいスープです。味は薄めにつけてありますので、好みに合わせて塩や、胡椒、唐辛子を入れて味付けしてください』 参加者の中で、ためらう人もいましたが、興味ある方が試食し、美味しいという感想をきいたら、参加者全員がシスヌスープを頂きました。
日本人の口に合うようで、全員がお代わりを願い出て、キッチンボーイは笑顔で参加者の器にスープを足しながら回りました。
いつもよりゆったりした昼食になりました。トイレも済ませ出発を待つばかりです。スタッフはすでに出発しシャブルベンシに向いました。
午後のトレッキング
ガイドの案内で午後のトレッキングが始まりました。時間は13時10分です。平坦な道を下るだけのトレッキングです。道の両側を覆う草も行きよりも背丈が伸びています。
向こうにシャブルベンシの集落が見えてきました。つり橋も見えています。右側には電信柱があり、山から下りてきた感じになります。吊橋を渡りかえして、村の街道を歩きます。タマン族の人たちが笑顔で迎えてくれます。ゆっくりと歩きながらロッジを目指します。
再びチベットから流れでるボテコシ川に架かる吊橋を渡るとトレッキングはほぼ終わりです。そこから10分も歩くと、専用車が待っているシャブルベンシのロッジに到着です。
ロッジに到着するとオーナーが出迎えてくれました。そしてスタッフから熱いお茶が配られていきます。
すでに荷物は部屋に置かれ、ガイドが、部屋に蚊取り線香を付けながら回っています。温かいお茶を飲み、着替えに部屋に入ります。
ある者は衣類の洗濯を始め、シャワーを浴びて伸びたひげをそったりと、普段の日常が始まります。
1時間ほどしてから参加者がダイニングに集まり、ティータイムが始まります。電気も来ているので、バッテリーの充電をして忙しいです。
ボランティア
ガイドより参加者に御願いがありました。実は、この村にいる子供達に文房具や衣類を渡して欲しいということで、時間を少し頂きたいという御願いです。
サパナは日本の小学校の協力のもと、使い古しの文房具をネパールの子供達に届けるボランティアの活動をしています。そのため、日本から大きな入れ物に文房具や衣類を入れて、ここまで運んできていました。
ガイドはスタッフを集め、村の子供達を呼びにいきました。30分ほど経つとロッジの前には、約50人の子供達が集まっています。
ガイドより参加者の皆さんの手から渡していただきたい旨と、子供達が順にもらえるようにスタッフも手伝う旨の案内がありました。
子供達は一列に並んで文房具や衣類を、参加者の手から受け取って行きます。長い行列ですが、参加者の方が順番に変わりながら手渡しをして行き、ここに集まってきてくれた子供全員に配りました。そして最後に参加者と子供が並んで写真を撮り、このプログラムは終了です。
ガイドよりボランティアの活動にご参加していただいたことのお礼があり、私たちは本当にこのような経験をすることができた喜びでいっぱいです。
再び夕食までお茶の時間です。ガイドは明日の出発のことも踏まえてカトマンズと連絡を取り合っています。外には明日私たちがカトマンズに向う為のランドクルーザーが来ています。
夕食
18時30分、久々に蛍光灯がついて明るい部屋での夕食が始まりました。いつもと違う夕食の感じで参加者はすこしびっくりしています。
先ず、ポップコーンが配られ、チキンスープが配られていきます。その後にチキンのから揚げ、照り焼き、砂肝料理、チキンカツ、バーベキューと続いてきます。鶏肉は地鶏で最高に美味しいです。手巻き寿司が並び、野菜炒めとキムチが来ました。
コックは私達がお茶を愉しんでいる間に鶏肉を手に入れて沢山食事を作っていたのです。
どの食事も日本で食べている味と一緒です。美味しい美味しいと参加者は大満足です。
外からスタッフが楽器を演奏しながら入ってきました。キッチンボーイを先頭にポーターも続いて入ってきました。
コックが大きなケーキを持って入ってきました。ケーキを参加者の前に置き、歌を歌いました。
歌が終わり、ネパール人ガイドより今回のトレッキングが無事成功できたことと、日本からヒマラヤに来ていただいたことへの感謝の言葉をネパール語で話し、ガイドがそれを参加者に日本語で通訳します。
そしてケーキ入刀です。
参加者の中から選ばれた方が、コックが作った大きなケーキにナイフを入れます。
ゆっくりとナイフが入り終わると参加者とスタッフから拍手が沸きました。その後コックがケーキを小さく切って参加者に配り、全員で手作りケーキを美味しく頂きました。
ガイドよりスタッフへの感謝の気持ちを伝えました。参加者が順にお礼の言葉を言います。ガイドがネパール人スタッフ全員に分かるよう、ネパール語で通訳してくれます。
その後、参加者全員がテーブルの前に集まり、出発前に集めたチップをポーターから順に配っていきます。
ポーター頭のソナムは責任感強い人間で、いつも私達のツアーに参加してくれ、ポーターをしっかり監督しながら、荷物を責任持って運んでくれます。ガイドがソナムにお礼の言葉をかけると、彼は喜んで大はしゃぎです。順にキッチンボーイ、コック、ネパール人ガイドとチップが参加者の手から渡されます。
最後に、ネパール人ガイドから参加者へ感謝の言葉と、次回も是非ネパールに来てヒマラヤを愉しんでいただいて欲しい御願いがありました。
キッチンボーイの笛が奏でられ、再び、音楽がスタートです。太鼓のリズムにのって、ポーターが踊りだし、ネパール民族音楽を歌います。参加者もネパール人スタッフに手を引かれ一緒に踊りだします。
言葉は分かりませんが、気持ちは伝わります。一緒になってこのヒマラヤの思い出をこの歌にのりながら踊ります。
参加者の目は本当に輝いています。写真を撮ったり、一緒になって踊ったり、身体が気持ちよくなるのです。
日本では体験できない大自然と素朴な人々の生活に触れながら楽しく、強く思い出に残るトレッキングでした。
歩くだけでなく、実際に体験しながらトレッキングを愉しむことが出来ました。
明日の朝も早いようですので9時過ぎに各自部屋に戻って就寝です。
今夜の宴で奏でられた民族音楽のリズムを口ずさみながら、眠りにつきました。