今日の行程はラマホテルを出発し、原生林の林を抜けて、氷河が削ったU字谷が広がるランタン谷を歩き、標高3300mのランタン村に向います。
およそ7時間の行程です。
朝6時、キッチンボーイの声で目が覚めます。ドアがノックされ、熱いコーヒーを部屋まで運んできてくれます。
朝食の時間になり、キッチンから食事が運ばれてきました。先ず、大根のお味噌汁が運ばれてきました。その後お皿に載せられたお餅と漬物、少しやわらかめのご飯、無農薬野菜の炒めものと、採れたての卵を使ったゆで卵、昆布の佃煮です。
起床:
15分もたたないうちに、洗面用のお湯が運ばれてきました。部屋の外に置いてもらい、寝袋からゆっくりと出ます。ほんの少し肌寒さを感じますが、それも心地よく感じます。
洗面器のお湯を持ってロッジの外でゆっくりと顔を何度も洗います。
今日も雲の隙間からうっすらと陽射しがさし、雲が速く流れて行きます。
キッチンではコックが中心になって朝食の準備が進められ、忙しくキッチンボーイが野菜を洗ったり、お皿を準備したりしています。
6時45分からの朝食にあわせ、参加者もトレッキングの支度をしています。ポーターに運んでもらう荷物と参加者自身が担ぐ荷物を分けてダイニングに入ってきました。
どの参加者もスパッツを履き、雨具をザックに入れています。ラマホテルから昼食予定地のゴラタベラまで深い樹林帯の中を歩きます。霧が樹の枝について滴となって落ちてきますので、樹林帯の中は常に濡れている状態です。
朝食:
参加者は大きい梅干を一つ取ってご飯と一緒に食べています。
ガイドより『今日の昼食地まで樹林帯に咲くお花を見ることができます。昼食地のゴラタベラ以降は大きな木も無く、視界が開けてU字谷を見ながらお花畑を歩きます』と説明がありました。
ヒマラヤが見えるかも知れないと胸を弾ませながら、朝食を食べました。
朝食が終わると、参加者の水筒にお湯やお茶が配られます。
トレッキングの準備が終わり外に出て、出発を待つばかりです。ガイドが参加者の部屋を回りながら落し物が無いか確認しています。
ロッジのオーナー夫人よりお別れの挨拶と帰路の予約を御願いして、いつもより少し早くラマホテルを出発です。
出発:
村はずれから樹林帯が始まります。ここに生えている樹はおよそ20mの樹高で、風苔がびっしりと枝や幹に付いています。参加者は蛭がいないか心配しながら歩いていますが、発見できません。
沿道には背丈が30cmほどのショウガ科の花【紫色】がびっしりと群生し、紫色の街道を演出しています。
視線を少し上げるとユリ 【黄緑色】がポツポツと頭を下げて咲いています。フウロウ【ピンク】が少しずつ現れてきました。
ラマホテルを出発して1時間30分ほどで、グムナチョクに着きました。10分ほどロッジのベンチに腰を下ろして休憩です。ここには春になると立派な赤色の石楠花が咲き、トレッカーの疲れを癒してくれます。
このあたりからゴラタベラまでの間に石楠花が密生していて、ランタンの石楠花は赤や白、ピンクなど色々な色の花が咲きます。
私たちより先に歩き出したポーターもここで休んでいます。参加者の1人が日本から持ってきたキャンディーをポーターに配りました。ポーターは大喜びでおいしそうにあめを食べています。それを見たある参加者が日本製のタバコをあげたら、すぐにタバコを大事そうに彼らの財布にしまってしまいました。
どうやら後でゆっくりと吸うのでしょう・・・
お昼の予定地ゴラタベラは樹林帯を抜けた先です。
トレイルも少しずつ谷に沿って右に曲がりながら緩やかに高度を上げていきます。
所々に樹高が1m程ある花が咲いています。一見花が終わりかけのように見えますが、黄色い花弁をつけて咲いています。
視線を再び足下に持っていくと真紅の色をした小さい花がヒッソリと咲いています。よく見ればその横にも。今まで気づかなかった花ばかりです。
樹林帯を抜ける:
鬱蒼とする樹林帯からようやく抜けそうです。今度は人の背丈ほどの大きさで【薄紫色】をしたキンポウゲ科の花が現れてきました。所々に紫色の花をつけてとても綺麗に見えます。
樹林帯を抜けると世界で一番美しい谷と称されるランタン谷が、U字谷の全容を見せてくれました。雪を被ったヒマラヤは雲の中ですが、ここにヒマラヤが聳えているのが分かります。
石が敷き詰められた道を歩くといろんな種類の花が咲いています。
背丈10cmほどのアヤメやゴマノハグサ、スミレ【黄色】 マメ科の花、アブラナ科の花 ユリ科の花があたり一面に咲いています。その花園の中に2軒のロッジがあります。
昨日宿泊したラマホテルのご主人がここでもロッジを経営しています。そこに寄せていただき、昼食になります。昼食まで1時間程時間があるので、ロッジのキッチンの様子を見せてもらいました。
タマン族の風習によって祭壇があるキッチンです。ダライラマやブッタ(お釈迦様)の写真が飾られ、お祈りの道具も一緒に奉られています。
薪を燃やして火を起こすかまどを見ていると、オーナーがかまどの前で火に当たるように呼んでくれました。
それほど寒さを感じませんが、汗を乾かすのにちょうど良いです。
外はいつの間にか雨が降っていました。それほど大粒の雨ではないので、現地の人が傘をささず歩いて登っていきます。彼らの足なら1日でランタン村まで歩けると聞き(参加者の足で2日間の距離)びっくりです。背中には大きな荷物を背負って登っていくのです。
ポーターが追いついてきました。彼らは荷物を雨が当たらないところにおいて、何かポケットから出して私たちを呼んでいます。彼らの傍に行くと小さい木の実を沢山集めていました。
ガイドがネパール語でその実を尋ねると山椒ということです。彼らはこの実を集めて食事の時に使用するとのこと。
参加者の荷物が雨で濡れないように、荷物の上から大きなビニールで2重にカバーがかけられています。
ゴラタベラで熱々の昼食!
色々とネパールの文化を見ていると、あっという間に1時間過ぎてしまいました。
昼食の用意が出来き、メニューはなんとスパゲッティーを中心にしたものです。新鮮な無農薬野菜をふんだんに使った炒めもの、おにぎり【中身は昆布】ブロッコリーのゆでたものをケチャップ味付けしたものなど6種類のおかずがテーブルに並びました。
参加者は入り口に用意された手洗い用のお湯で手を洗い、椅子に座って食事が始まります。
外は雨が降ったり止んだりしていますが、楽しい食事でロッジのダイニングはにぎやかです。
参加者は午前中に撮影した花の映像を見せ合っています。温かい美味しい食事を頂き、ゆっくりとした時間が流れていきます。
ランタン村から降りてきた外国人トレッカーがロッジの中に入ってきました。
私達の食事風景をみるとびっくりした様子で、非常に興味をしめしているようです。参加者がその外国人に日本の食事を勧め、外国人トレッカーはおいしそうに食べていました。
ガイドはランタン谷上部の情報を外国人から得ています。
雨宿り兼ねての昼食でしたが、出発する頃には小ぶりになったので、折り畳み傘で十分です。
午後のトレッキング
12時45分出発です。石楠花の木と山椒の木が密生している場所を抜けていきます。草地に変わり色々な花を見ながらのトレッキングが再び始まりました。
先ほど見てきた花に加え20cmほどの背丈のラン科の花、ユリ科の花がいっぱい咲いています。
ピンク色と白いバラも花弁に滴をつけながら咲いています。
秋や春に比べ、まったく外国人トレッカーに会わない静かなトレッキングを思いっきり楽しんでいます。
左側に大きな建物とバレーコートが見えてきました。ここはネパール軍の駐屯地でランタン国立公園のチェックポストです。
カトマンズで取得した許可証をここで見せます。
全てガイドがしてくれるので、その間も思いっきり高山植物を楽しむことが出来ました。
ユリ科やタデ科の花を見ながらのトレッキング。段丘に上り、ふと振り返ると先ほど昼食したゴラタベラが見えています。現地の人でしょうか?ロッジの外で集まっているように見えます。
2km前方には私達がこれから向うランタン村の集落が見えています。ここから更にお花畑の中を歩いていくと、マツムシソウ科の花がトゲの針たくさんつけて咲いています。
ミヤマキンバイ【バラ科】の仲間でしょうか、黄色い花をつけて岩の横でゴマノハグサ(先ほどより背丈の低い)と一緒に咲いています。
視線を何処にうつしても花が咲いているトレイルは雨季のヒマラヤのもう一つの顔です。
ツクシのような黄色い先のとがった花をつけたシソ科の花が15cmの背丈で群生しています。とっても可愛いので写真を一枚とってしまいました。
雨が降ったり止んだりしている天気ですが、村人にはまったく会いません。
カルカ(放牧地)に作られた畑の中にも人が見えません。ガイドに理由を尋ねると、『ランタン谷に暮らす人々は、もうすぐお祭りが行われるキャンジンゴンパへ出かけているのです。』
ランタン村に到着
昼食地からゆっくり歩いておよそ3時間でランタン村に着きました。大きな村ですが、お祭りの為、殆ど人がいません。
すでにキッチンボーイが外で私達の到着を待っていました。彼らはいつものように暖かいジュースを持って走ってきました。
暖かいレモンジュースを1人ずつ参加者に配っています。
最後の参加者もランタン村に到着しました。
ロッジに入りダイニングで合羽を脱ぎ、ストーブの上に張られたロープに掛けていきます。ロッジの女将がストーブに薪を入れて火をたいてくれます。
寒さは感じないですが雨具の乾燥のために火を入れてくれました。
ロッジのキッチンからラジオの声が流れています。ラジオは電池式のものでなく、電気を使ったラジオです。
ガイドが昔のランタン村の話をしてくれました。
『1994年に訪れた時には、この村に電気はありませんでした。ランタン村に電気が来るようになったのはそれから暫くしてからのことです。
日本のボランティアグループが滝の水を利用して水力発電を行い、、各家庭に電気が供給されているのです。
メンテナンスも全てネパール人が行っています。本来、夜間しか電気が家庭にきませんが、村人がいないので、昼間も流しています。』と説明してくれました。
ガイドの話を聞いている間に、ダイニングが暖かくなってきました。キッチンボーイがココアやコーヒー、紅茶とビスケットを持ってきてくれ、ティータイムが始まりました。
今日見てきた高山植物の話で、盛り上がっています。
ガイドとスタッフはロッジの部屋に、参加者の荷物を手際よく置いていきます。その後寝袋とシーツ、枕を配ります。部屋の用意が出来たことを参加者に告げ、熱いお湯が入った洗面器が配れられていきます。
夕食までの時間、着替えや明日の準備をしながら、またある参加者は文庫本を片手に、ストーブの前でゆっくりと読書にふけています。
夕食
外も段々暗くなり、夕焼けを見ることなく日が暮れました。
ダイニングにろうそくが灯され、私たちだけの夕食が始まります。
ネパールのせんべい(パーパル)塩胡椒味のものが配られ、初めての味ですが美味しく、また一枚と参加者の口に入っていきます。
温かいトマトスープが配られ、一口頂くたびに身体の中から温まり、上着を一枚脱いで体温調節をしている方もいます。
チャーハンと地鶏を使った照り焼きが出てきました。付け合せにポテトフライ、温野菜ときゅうりとにんじんと大根を使ったサラダ、ミックスピザまで出てきました。いつも沢山料理を出してくれるので、本当にありがたいことです。
どの食事もちょうど良い味付けで、無農薬野菜を使っているので、身体に良いものばかりをいただいています。適度の運動と美味しくいただける食事、快適な睡眠が私達の健康を維持してくれます。
楽しい夕食も終わりストーブの火に当たりながらゆっくりと暖をとります。外の気温は12度くらいでしょうか。標高3300mの高度でも寒く感じません。
うたたねをしてしまいそうな心地で、明日の予定についてガイドより説明がありました。
『明日は3800mのキャンジンゴンパへ行きます。お昼前に到着すると思います。高低差500mほどをゆっくり歩きますが、今日見てきた以外のお花が更に咲いていますので楽しみにしてください。途中イエローポピーも見ることができます』と説明してくれました。
参加者は明日も素晴らしい景色と花を見ることができることで興奮です。カメラフィルムの残りを気にしながら入念に準備します。
ガイドの適切なアドバイスと詳しい説明、美味しい食事を頂きながら毎日安心して歩けることに感謝です。
ランタンの夜は更けていき、いつしかヒマラヤに降る雨は強くなり、明日の朝上がって欲しいと願いながら、眠りにつきました。