少しずつテントの中が明るくなり、雨の音もしない朝を迎えました。すでにテントの外では、スタッフが朝食の準備をしています。
テントのジッパーを開けると、昨日同様にヒマラヤが見えています。むしろ昨日よりも綺麗に見えているようにも思えます。
スタッフは水を汲んでいます。その様子を見に来たのでしょうか、ナキウサギが岩の上でこちらを見ています。音を立てた瞬間すぐに岩陰に隠れ、しばらくするとまた顔を出します。彼らの朝食時間と重なるのかもしれません。
キッチンボーイがお茶と洗面器のお湯を一緒にテントの所まで運んできました。
どの参加者もすでに起きているようです。お茶をもらってすぐに、テントの中から出てきます。
朝露に濡れた高山植物の向こうには、神々しいヒマラヤが聳えています。
ゆっくりと2杯目のお茶を飲み、写真を撮ろうとしていると、下の方から人の声が聞こえてきます。そちらの方をカメラで覗くと、ポーターたちが手ぶらで登ってきています。歌を歌いながら私達が登る速さよりもずっと早い速度で上がってきているのです。あっという間に私達のいるテント場へ着きました。
キッチンボーイが彼らにミルクティーを配っています。それを何杯も飲みながら、キャンジンゴンパで過ごした2日間の話をしているのです。
朝食の準備が出来たので、ダイニングテントへ移動です。すでに食器が並べられ、食事が運ばれてくるのを待つばかりです。入り口のジッパーを全開にして、ヒマラヤが見えるようにしてあります。
お味噌汁が運ばれてきました。お餅の磯辺巻きがお皿に盛られて運ばれてきます。おかゆと梅干が一緒に運ばれ、参加者の前に揃いました。その後には、砂糖で味付けされた甘い卵焼きが沢山出てきました。これで朝食は終わりかと思いきや、野菜の料理が2品出てきてびっくりです。どの食事も美味しく食べられるので、体力の低下とは無縁です。
食事が終わり、下山する準備です。ヒマラヤを見ながらゆっくりとテントの中を整理していきます。ポーターに預ける荷物と、自分で背負う荷物を分けていきます。用意が出来た方から外へ荷物を出して、ヒマラヤと天空の花園を堪能しています。
ガイドとスタッフが協力してテントの撤収をしていきます。手際の良さをじっくりと見ている参加者もいるので、恥ずかしそうに撤収作業をするスタッフもいます。
全ての撤収も終わりキャンジンゴンパへ出発です。只今の時間8時30分過ぎです。先頭にポーターたちが行きます。その後にコックとキッチンボーイが進んで行きます。登りと違い彼らの足は軽快でまさに獣のように下っていきます。最後にガイドとゲストが一緒に歩き出します。
テント場の清掃と確認をスタッフが行い、一路3800mのキャンジンゴンパへ。
先日登ってきた道と同じ道を下りながら、『こんなところを歩いたんだな?』と声を出す参加者もいます。
あっという間にカルカのところに来てしまいました。そこで20分ほどゆっくり休憩をします。足の疲れをしっかりと取るためと、ここはランタン谷の景色が非常に美しく見えるポイントなのです。またここにはサクラソウの群生とアネモネの花が競演しながら道を彩っています。その風景が本当に綺麗で、何度も写真を撮っています。
再びガイドの合図で下山が始まりました。ストックを突きながらゆっくりと下山です。道はしっかりとついているため問題ありません。2時間かけてゆっくり下りてきました。はるか先には、ポーターやキッチンボーイが歩いているのが見えます。その様子を見ながら参加者は彼らの後を追っていきます。
大きな岩の間につけられた道を下り、平坦な場所に出てきました。両側には色々な色の花が背丈の大きさまで成長して私たちの視線の高さで咲いています。
川の傍までやってきました。ガイドが川の流れを確認しに行きました。昨日の雨はそれほどなかったのでしょう、あまり水が流れていないので、普段歩けるコースを進むことになりました。ゆっくりと川傍まできてから、ガイドの手を握りながら安全に渡渉していきます。
全ての参加者が無事渡り、再びスタートです。この後は、平坦な道がキャンジンゴンパまで続きます。
行きには気づかなかった、マツムシソウ科の群落も見えました。非常にとげとげしい花です。
ゆっくり歩いて今日の宿泊地キャンジンゴンパへ着きました。
すでにスタッフが部屋に参加者の荷物を入れてくれ、またキッチンでは昼食の準備が始まっています。
到着に合わせて温かいレモンジュースが配られてきました。ゆっくりとジュースを飲んでいると、オーナー夫妻も出てきてくれました。ガイドはオーナー夫妻と愉しく会話をしています。
ジュースを飲み終えた方から部屋に戻り、楽な格好に着替えてきました。昼食まで30分ほどかかるとのことなので、それまで自由行動になります。参加者は着替えを終え、村の散策に出かけました。
暫くして、キッチンボーイは『昼食が出来た』と大声で叫んでいます。その高々な声は澄みきったランタン谷にこだましています。ネパールでは時々大声で人を呼ぶ習慣があります。日本と違って声が遠くまで届くのです。
参加者全員がそろい、昼食です。天気も雨になりそうなので、ダイニングを利用しての昼食になりました。
どんなメニューが出てくるか楽しみです。
先ず出てきたのは、野菜をふんだんに入れたクリームシチューです。
その後にトマトを使ったスパゲッティーが出てきました。どれも本当に参加者の口に合うよう作られています。
スパゲッティーの茹で加減もちょうどよく、この高地でこれほどにも美味しく作れるのには関心です。
食事が進んでいくと、次はきのこと野菜を使った炒めものです。それ以外に漬物やインゲンのおひたしも出てきました。沢山スパゲッティーを作っているのでしょう。参加者のお皿に盛られたスパゲッティーが少なくなると、キッチンボーイが急いで盛っていきます。
ガイドより『 午後はフリーです。私も皆さんとご一緒に行動しますので、遠慮なくおっしゃってください。
また他のスタッフも同行しますので、幾つかのグループに分かれても構いません』 と説明があり、準備の出来た方から村の散策に再び出かけました。
ガイドと一緒に同行した参加者は興味深々です。
ガイドの友人がキャンジンゴンパにいるとのことで、その家に行き、彼らの宝飾を見せてもらうことを御願いしました。
学生時代、卒業論文を書く為、ランタン谷を訪れ長期滞在していた関係で、多くの知人がいます。
タマン族が建てたロッジには必ず祭壇があります。そのすぐ傍には金庫を兼ねた大切な衣類や宝飾を入れた鉄製の入れ物があります。特に慕いし友人の家でタマン族の伝統な飾りや宝飾を見ることが出来ました。トルコ石と山珊瑚を使ったチベット系の宝飾と、ジーストンと呼ばれる高価な石を見せてもらい感激です。
ゆっくりと彼らの生活習慣を垣間見ながら、そして彼らと一緒に話をしながら散策を楽しんできました。
16時前にはロッジに戻り、すでに他の参加者も待っていて、一緒にティータイムが始まりました。
温かいコーヒーや紅茶、日本茶を飲みながら楽しい会話に華が咲きます。外では高山植物が風に揺れていますが、ダイニングでは参加者の話で盛り上がっています。飲み物用のお湯がなくなると、キッチンボーイが改めて作ってきてくれます。
夕食
夕方6時からの夕食までゆったりとした時間が過ぎていきます。ストーブにも火が入り、ぽかぽかした部屋は肌着ともう一枚の服装で十分です。キッチンからお餅を拝借して、ストーブの上で餅焼きが始まりました。しょうゆと一緒にいただく簡単なものですが、またそれが美味しいともう一つ追加していきます。
いつの間にか夕食時間になりました。キッチンの方からは美味しそうなカレーの匂いがしてきます。
今日の夕食はカレーとすぐに分かりました。カレーがお皿いっぱいに入っています。その後には酢の物や、炒めものなど次から次へ出てきます。その後、おでんまで出てきました。ティータイムからずっと食べているのですが、夕食も全て食べてしまいました。
薪を焚きながら食べる夕食は最高に気持ち良く、精神的にも充実します。食事も終わりお茶とデザートをストーブの前に座りながらゆっくりといただきます。
ストーブ越しに見る対面の参加者の顔が熱気で揺れて見えるのです。普段の生活では見ることの出来ない現象がここではごく普通に見えるのが愉しく、会話がどんどん弾んでいきます。
キッチンボーイが湯たんぽを持ってきました。必要な方もいますが、それほど寒さを感じないとのことで、湯たんぽを使わない人もいました。ストーブの火が消えるまで楽しい会話が続き、その後各自部屋に戻り、お花畑の真ん中に建っているてロッジでゆっくりと寝ました。